テレビをつければワイドショーも報道番組も連日、“小池劇場”ばかりを演じている。新聞を開いても「豊洲」の見出しが躍らない日はない。民放キー局デスクは、都政関係のネタが、番組から外せない理由をこう語る。
「いま、視聴者は“小池劇場”しか見てくれない。国会では与野党論戦の真っ最中ですが、視聴率データを見ると番組の内容が豊洲問題から永田町に切り替わった途端、他局がやっている小池関連のトピックにチャンネルを替えられているのがわかる。だからいかに都政や豊洲問題で番組を引っ張るかで頭を絞っている」
9月28日に東京都議会で小池百合子・都知事が所信表明演説を行なった際は、民放キー局が競い合うように全国ネットで生中継するお祭り騒ぎ。フジテレビの『直撃LIVEグッディ!』は知事の演説中に政敵で“都議会のドン”と呼ばれる内田茂・都議が居眠りをしていたかどうかを様々な角度から撮った写真で“検証”するのに10分近くを費やしていた。
過熱する報道合戦によって、築地市場の豊洲移転問題に対する国民の理解が深まるなら結構なことだろう。
ところが、各局は問題だと煽るばかりで不正確な情報を流し、訂正に追い込まれたケースも少なくない。これでは視聴者は混乱する一方だ。そこで本誌は新聞・テレビによる“間違いだらけの豊洲報道”についてまとめてみた。
◆豊洲市場の建物の柱が傾いている→真っすぐ立っていました
豊洲報道で先頭を突っ走っているのがフジテレビ。次々に“スクープ”を放っている。
10月2日放送の『新報道2001』では、民進党の渡部恵子・中央区議の提供写真をもとに、豊洲新市場の加工パッケージ棟4階の柱1本が傾いている疑惑を報道。番組中でコメンテーターたちが「傾いているのは確かですね」「柱に問題があるとすると、梁や床にも全体に影響があるはずです」と危険性を指摘した。
それに対して、東京都が柱の傾きを否定し、ネットでも大炎上。同番組が柱の傾きを強調するために写真を回転させたのではないかという疑惑まで指摘されると、翌週(9日)の番組内でスマホのカメラレンズが広角であるために、傾いているように見える写真になっていた可能性を認め、須田哲夫キャスターが「一連の報道により、誤解を招いたことを真摯に受け止めます」と訂正した。