国内

阿川佐和子 若いうちから主義とか決めるのはもったいない

阿川佐和子から若者への助言

 阿川佐和子さん(62才)の父は、昨年亡くなった作家の阿川弘之さん(享年94)。阿川さんが、父との思い出を綴った『強父論』(文藝春秋)が、ベストセラーになっている。そんな阿川さんに父との思い出を聞いた。

 戦後、家長制がなくなり、「個性を大事にしよう」と声高に叫ばれるようになった。その結果、結婚や離婚に対するハードルも低くなり、さまざまな働き方が許されるようになった。

「昔は、一度結婚して離婚する場合も世間の目があり、『あら、恥ずかしい』という時代でした。横暴な亭主に浮気されても、勝手にお金を使われても、女房は三つ指をついて『お帰りなさいませ』と言わなければならなかった」(阿川さん、以下「」内同)

 父は、今では時代錯誤とも取れる「女らしさ」を妻や娘に要求した。例えば、父のお酌をするのは日課。大学の定期試験前に勉強があるからとお酌を断って勉強していると、機嫌を悪くする。

「似合わないから」という理由で洋服を着ることを禁じられていた母が腰痛でつらそうにしている時も、最初こそ「大丈夫か、痛むか」と心配するものの、晩酌が始まると同情することを忘れ、「おい、塩を取ってくれ」「デザートはまだか」とこき使う。

「それが今や、私は売れ残りというのもおこがましい年ですけど、こうして堂々と歩ける世の中になった。でも、自由に生きていくことが幸せという風潮があまりに行きすぎているように感じます。

 権利や自由を勝ち取るには責任と義務が伴うのに、責任も義務もなく、だけど自由だけほしいという傾向がある。人間はわがままだから、放置したらいくらでも自分に甘く、『ま、いっか』と思ってしまうんです、私みたいに。だから、『この人の前に行くと緊張するぞ、言葉遣いを気をつけないと、背筋を伸ばさないと』と思わせてくれる存在が必要なんです。私にとってはそれが父でした」

 親子の中だけの話ではない。昔は、学校では友達と軽口をたたいたり、流行りの言葉で会話していたけれど、親戚や父には敬語を使っていた。

関連記事

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト