放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、ドラマと高級ブランドの関係性について考察。
* * *
米倉涼子主演の『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)第4シリーズの初回視聴率が、20.4%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と、今年放送された民放の連続ドラマでトップに輝いた。
在宅率が上がる10月期のドラマは、もともと7月期より高視聴率が見込まれるとはいえ、さすが、大門未知子。あとは高畑充希主演のNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』がもつ記録を『ドクターX〜』が抜くか否か。テレビ朝日のみならず、米倉が所属するオスカープロモーションもまた固唾を呑んで見守っていると思われる。
今シリーズの『ドクターX〜』には、朝ドラの『花子とアン』(NHK)でブレイクした吉田剛太郎や、その吉田と共に『半沢直樹』(TBS系)でいきなり知名度を上げた滝藤賢一らが新キャストとして加わった。朝ドラ『べっぴんさん』にも出ていて大忙しの生瀬勝久や、未知子の相棒・岸部一徳。さらには、未知子が契約書で「いたしません」な項目を「覚えちゃったよ」とボヤいた勝村政信、そしてアドリブ満載の西田敏行ら、俳優陣は盤石のキャスティングだ。
が、今シリーズで目立っているのは女優陣だ。まずは何といっても泉ピン子。なんでも『ドクターX〜』の大ファンだったとかで、他の現場のように「怖いピン子」ではないらしい。
とはいえ、存在感は抜群で、初回では味方なのか敵なのかまだよくわからなかった副院長=ピン子と、「もう騙されない」という構えの未知子=米倉との共演シーンは最大の見所だったと言っていい。
ほかにも、タブレット片手に病院広報を一手に担う南郁子役の草刈民代、今年3月、「女優宣言」したばかりの新人で、オスカーが「第二の菜々緒に」と猛プッシュしている病院長秘書役の田中道子。おなじみの麻酔科医・内田有紀ら女優陣に加えて、脚本家の中園ミホ氏、テレビ朝日の「失敗しない女」こと、内山聖子ゼネラルプロデューサーら、“美しい女子力”の集結も、高視聴率をはじきだした要因ではないか。
このように出演者も多ければ、海外あり、病院、高級レストランから銭湯まで、ロケ地が多いうえ、キャスト全員の衣装協力や、医療器具をはじめとする持道具などのクレジットまで、『ドクターX〜』は、エンディングのスタッフロールが映画のように長いドラマとしても有名だ。
なかでも、同ドラマのHPにもある「未知子のファッションチェック」は、米倉と同年代からそれ以上の、いわゆるブランド世代の女性にとっては、“お楽しみ”の一つだろう。