ビジネス

ICT時代はウィキペディア的社会 WeはIより優れ崇高なもの

経営コンサルタントの大前研一氏

 スマートフォンが普及し、SNSなどで常に繋がっていることが当たり前になったいま、組織のあり方が変わりつつある。ネットワーク社会において求められる人材について、経営コンサルタントの大前研一氏が分析、解説する。

 * * *
 前号では、ICT(情報通信技術)時代のネットワーク社会では、従来のピラミッド型組織の時代が完全に終焉し、一人一人の個人が年齢、経験、肩書、性別などに関係なく、トップのダイレクトな指示を受けて、どれだけ組織に貢献できるか、ということだけが問われる、と述べた。
 
 では、そこで求められる役割や働き方とはどういうものなのか? ネットワーク社会における組織は一人がみんなに、みんなが一人に、みんながみんなにつながっているという概念であり、その中では積極的に自分の意見を「発言」して組織に「貢献」しなければならない。

 一例を挙げよう。私は学長を務めている「ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院」で経営戦略のクラスを受け持ち、1学期・3か月間に23回の講義を行なっている。その授業ではクラス全員でネット上で議論しながら“答え”を導き出すのだが、学生が3か月間に発言する回数は平均75回なので、発言が50回以下だった学生や最後に慌てて何度も発言して帳尻を合わせた学生は落第・再履修となる。

 発言していないということはクラスに貢献していないということであり、貢献しない学生はネットワーク社会では存在しないのと同じだからである。

 この手法は、いわば“クラス内ウィキペディア”のようなものである。一人一人の学生は知識や経験が足りなかったり、スキルが未熟だったりする素人だが、その素人が集まって真剣に考えながら侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を重ねていくことで、より正しい“答え”にたどり着くのだ。これは会社など他の組織やグループでも同じである。

関連記事

トピックス

百合子さまは残された3人の仲を最後まで気にかけられたという(2023年6月、東京・港区)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン