全国各地で行なわれる不動産投資セミナーが、空前の活況を呈している。不動産投資情報サイト「健美家」に掲載されるセミナー情報は、実に6年で10倍以上に増加しているという。
その牽引役となっているのが、退職金の運用を考えるシニア世代である。「健美家」の会員登録は、今年に入ってから50代以上の新規登録が急増中だ。
「早期退職の退職金などを利用して現金購入を考える投資家や、低金利で銀行融資を活用して投資を始める方が多く、60歳以上登録者も増加しています。相続増税が影響して資産運用の観点で投資を始める人が増えたことが要因の一つと考えられます」(同社)
日銀の低金利政策の中では銀行に預けても利殖にならない。その一方で不動産価格が高値を保っているという状況が、シニアの不動産投資志向を高めているようだ。
そうしたニーズを受け、賃貸不動産オーナー向け情報誌の『家主と地主』は、季刊誌から隔月誌を経て昨年9月からは月刊誌になった。編集長の永井ゆかり氏が言う。
「不動産投資を始める際、アパート1棟丸ごとというより、1戸単位の区分所有からスタートする大家さんが圧倒的に多い。ローンを組まずに現金購入で始めることもできるので、借金をつくりたくないシニア層が、老後資金を運用するために数部屋から始めるというケースが増えているようです。
不動産投資の裾野が広がる中で、近年、その中から資産10億円を超える『メガ大家』と呼ばれる人たちも現われています。彼らの多くは小さな元手からスタートして、経験を積み重ねていくことで『メガ大家』になったのです」
10億円という金額には驚くばかりだが、実際にメガ大家となった人の証言からは、決して“投資の天才”という印象は受けない。