恋愛ものから、刑事もの、専門職ものまで、今秋のドラマには、さまざまなジャンルの作品があるが、そこにはある隠れテーマがあった。それは「同居」だという。いったいどういうことか? テレビ解説者でコラムニストの木村隆志さんが解説する。
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今秋、最大の話題作となりつつある『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系、以下『逃げ恥』)を見ていたとき、「そういえば今期は、同居がキーワードのドラマが多いな」と気づきました。
『逃げ恥』では、森山みくり(新垣結衣)と津崎平匡(星野源)が契約結婚のために同居をはじめましたが、『地味にスゴイ!校閲ガール』(日本テレビ系、以下『校閲ガール』)でも、部屋を追い出された若手作家・折原幸人(菅田将暉)と、彼をモデルに起用したい編集者・森尾登代子(本田翼)が同居。ともに見どころは、「同居がきっかけで恋愛関係に発展するかどうか?」であり、早くも心が動きはじめています。
『逃げ恥』では、津崎がみくりとの何気ない会話ですら戸惑い、みくりがカゼをひいて弱った津崎を見て萌え、1枚の布団を通してお互いの温もりを感じていましたし、『校閲ガール』では、幸人が森尾のためにエプロン姿で料理を作り、森尾が飾らない幸人を見て癒されるシーンがありました。どちらも、「同居したことで相手の素顔や優しさにふれ、恋心が芽生えはじめる」という過程が丁寧に描かれています。
さらに、『THE LAST COOP/ラストコップ』(日本テレビ系)では、30年間の昏睡から目覚めて帰る家がない京極浩介(唐沢寿明)がバディ・望月亮太(窪田正孝)の家に転がり込んで同居。亮太は「恋人の鈴木結衣(佐々木希)と同居したいから京極には出て行ってほしい」と思っている一方で、京極と添い寝をするなど、まんざらではないような態度も見せて、視聴者を笑顔にさせています。