近頃、デパートを取り巻く状況が厳しくなっている。9月30日、日本最北端のデパート、西武旭川店(北海道・旭川市)が閉店。さらに、今年だけでそごう柏店、西武春日部店など4店舗が、来年には三越千葉店や堺北花田阪急など、5店舗が閉店を予定している。中国人観光客による「爆買い」がピークを過ぎてしまったことや、右肩上がりで成長する「駅ビル」の存在が、デパート凋落の大きな理由になっているという。経済評論家の平野和之さんはこう話す。
「淘汰され始めている百貨店の中には、ユニクロやザラ、ニトリなどを誘致して集客をはかっているケースも見受けられますが、延命措置にしかすぎず、問題の根本解決になっていません。今後生き残るには富裕層の客層をどう維持、回帰できるか、体験やサービスといった“コト消費”をどう増やすか、そして独自商品のPB(プライベートブランド)戦略を成功させるしかないと思います」
呉服屋時代から数えると来年で創業300年を迎える大丸は、京都・祇園の町家で期間限定の営業を11月から始める(翌年7月まで)。同社の発表によれば、「祇園という国内外の観光客が訪れる場所で、百貨店ならではのおもてなし文化を世界に発信する」のが狙い。と同時に、「老朽化が進む町家を保全し、発祥地の活性化に貢献する」という。
さらに「超・地元密着型」もキーワード。実は、各地方を代表するデパートはとにかく元気なのだ。そんななかこんなニュースも。福岡の岩田屋は今年、創業80周年を迎えたのだが、ライバルの博多大丸は「祝岩田屋さん、80周年 これからも天神でご一緒に!」としたほか、福岡パルコも「80周年おめでとうございます! 縁のある“この地”からお祝い申し上げます」と、垂れ幕で祝うという珍事が起きた。