「オシャレでセレブな港街だが、選民意識が鼻につく」──そう言われるのが神戸である。出身を聞かれれば「兵庫」ではなく「神戸」と答え、言葉も「関西弁」ではなく「神戸弁」と主張する。神戸人のプライドは日本一高いのかもしれない。
今月スタートしたNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』ブームに神戸市が沸いている。
旧貿易商邸を改装した婚礼式場兼レストランで、ヒロイン・すみれが暮らす洋館のロケ地となった「ジェームス邸」(神戸市垂水区)には、“聖地巡礼”する観光客が絶えない。すみれのモデルである坂野惇子氏が創業した子供服専門店「ファミリア」の製品を敬愛してきた神戸市民たちは、日本中から注目が集まり、鼻高々だ。
「異国情緒で溢れてて、街の雰囲気もオシャレで素敵」(ジェームス邸を訪れた東京都・33歳女性)と語るように、観光客は神戸を絶賛する。かつて東洋最大の港として栄えた神戸港や北野異人館などの外国人居留地に代表される欧州風の街並みは、横浜に並ぶ港街ブランドを誇り、ハイソで、セレブなイメージが強い。
だが、そんな神戸に「調子に乗りすぎや!」と物申す人たちがいる。関西人、特に大阪府民から向けられる視線は厳しい。
「『子供服は天皇家御用達のファミリアが日本一』と自慢してくる一方で、『大阪の人にファミリアは上品すぎるわ』とバカにしてくる」(大阪府・40歳女性)
「神戸の人は、大阪名物のたこ焼きやお好み焼きをよう食べる。にもかかわらず、『神戸は大阪よりも上品やから』と見下してくるところが気に入らん」(大阪府・45歳男性)
ちなみに神戸人は粉モノにかけるソースにもこだわりがある。関西では、日本初のウスターソースを製造販売した「イカリソース」(大阪市福島区)が主流だが、神戸市民は神戸発祥の甘辛い「オリバーソース」が一番だと譲らない。
「転勤で大阪に引っ越した時、オリバーを見つけるのに苦労した」(神戸市東灘区・48歳男性)