様々な労働が自動化されてゆくこれからの時代、どんな人材が求められているのか。経営コンサルタントの大前研一氏が、イスラエルと台湾がなぜ、新時代に求められる人材を多く輩出しているのかについて解説する。
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以前、ICT(情報通信技術)時代のネットワーク社会で企業が成長したいなら、AI(人工知能)やロボットにはできない創造的な仕事をして組織に貢献できる人材を“発見”しなければならない、と述べた。では、そこで求められる具体的な人材像は、どのようなものなのか?
そもそも21世紀は“人材改革”の時代である。なぜなら、20世紀はまず「国家」ありきで、次が「地域」、続いて「会社(組織)」、最後が(労働力としての)「個人」という順序だったが、21世紀はそれが逆さまになり、個人や会社が国よりも大きな存在になったからである。
たとえば、アップル創業者の故スティーブ・ジョブズ氏、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、ファストファッションブランド「ZARA」などを展開する世界最大のSPA(アパレル製造小売)企業インディテックス創業者のアマンシオ・オルテガ氏、世界最大の家具量販店IKEA創業者のイングヴァル・カンプラード氏ら、1人の個人が世界中で莫大な富と雇用を生み出している。
そんな中で注目すべきは“人材大国”のイスラエルと台湾だ。アメリカのシリコンバレーでIPO(新規公開株式)まで行った会社の創業者を出身国の人口に対する割合で見ると、最も多いのはイスラエルで、次が台湾、そしてインド、旧ソ連・東欧系と続く。
よくシリコンバレーは「IC(インド&チャイナ)バレー」と言われる。たしかに絶対数ではインド人が最も多いが、人口比だと「I」は圧倒的にイスラエル人なのだ。また、アメリカの統計では中国人も台湾人もチャイニーズと書いてあるから中国人が多いと思われがちだが、実は「C」のほとんどは中国人ではなく台湾人である。
なぜイスラエルと台湾が、小国ながらそれほど優秀な人材を輩出できるのか?