また、習氏がポールソン氏の経済的手腕を重視していることも、習氏のポールソン氏厚遇の理由とされる。
しかし、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙との単独会見では、ポールソン氏の中国の経済改革に対する評価は手厳しいと言わざるを得ない。
例えば、「習近平氏の改革に関するアウトラインは極めて正しいものだが、改革を実際に行う人々が本当に習氏の思い描いているような改革を実行するのは難しい状況だ」などと述べるとともに、「これらの難しい仕事をこなすためには、中国には、いま以上に、経済改革に通じている有能な人材をそろえる必要がある」と現体制をやんわりと批判している。
さらに、ポールソン氏は現在の中国の経済改革の問題点について、「当面は国有企業の過剰投資と過剰在庫を改める必要があるが、中期的に見れば、地方政府と国有企業の過剰な債務を減少させなければならない。長期的には、これまでのように既存の製品を大量生産するのではなく、経済成長の新しい鍵となる中国独自の創造的な製品を生産していかなければならない」などと中国の経済改革の弱点を指摘している。
これについて、同紙の読者からは「ポールソンのアドバイスは本当に効果があるのかどうか? 彼の財務長官時代にリーマンショックが起きて、世界的に経済危機に見舞われたことを考えれば、習近平はポールソンのアドバイスと全く正反対の方法を採用すればよいのでは?」などの皮肉なコメントも寄せられている。