プロ野球の世界において、オフの戦力移動が活発化すると影響を受けるのが「球団カレンダー」である。球団カレンダーの基本構成は、「1月」が監督かチーム内のスター選手。主力選手はそれぞれ“ピン”で各月を飾り、若手や新人、中堅クラスは数人で登場するのがセオリーになっているが、登場した月に活躍してくれるとは限らない。
「今年は、悲惨だったのが巨人です。『5月』を飾ったエース・内海哲也(34)は5月前半まで二軍暮らしで、一軍復帰した5月後半も2連敗。『6月』は阿部慎之助(37)でしたが、やはり二軍での調整からようやく戦線復帰したタイミングだった。そして、広島独走が決定的になった『7月』は、今季一度も一軍登板がなかった杉内俊哉(35)とくれば、もうブラックジョークの世界でしょう」(球団関係者)
巨人は他球団に先駆けて10月に2017年度版カレンダーを発売しているが、杉内は“落選”の憂き目に遭っている。福岡ソフトバンクホークス担当記者が語る。
「日本ハムは今年、大谷翔平(22)が4月、中田翔(27)が8月の顔だった。大活躍した2人の位置は来年も不動でしょう。ただ大谷は二刀流だけに投打で2度登場の可能性もある。ソフトバンクの松坂大輔(36)も注目です。今年は『10月』に載っていましたが、3648日ぶりとなる今季初登板が10月2日。しかも1回39球を投げて5失点という大炎上でした。赤っ恥をかいた球団内では“来年はもう載せなくていいだろ”という声と“年俸4億円も払っているんだからせめて『顔』くらい使わないと”という意見に分かれているようです」
ここまで注目されるのは、カレンダーが球団の“ビッグビジネス”だからだ。たとえば阪神の場合、「球団カレンダーは例年軽く10万部以上を売り上げる」と説明するのは、野崎勝義・元球団社長である。
「数ある球団関連グッズのなかでもトップクラスとなる億単位の額を稼ぎ出す商品です。阪神電鉄をはじめ関連企業が営業で使うため、確実に部数が出る。あの弱くて勝てなかったタイガースの暗黒時代でさえ、観客動員は減ってもカレンダーの販売部数だけは大きく減らすことはなかった。ずば抜けた優良商品なんですよ」
注目が集まる商品だけに悩みの種も多いわけだ。