日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を2度獲得。脇役を演じれば、存在感ある演技で印象に残る名バイプレーヤーが小林薫(65才)だ。渋い演技からゆるい人物までを演じる小林は、まさに“カメレオン俳優”の代表格だろう。そんな彼の代表作で、海外でも大ヒットしている『続・深夜食堂』(11月5日公開)の現場に密着すると、“ミステリアスなマスター”とはまた違う素顔を見せてくれた。
繁華街の片隅で夜12時に店を開ける『めしや』。メニューは豚汁定食とお酒だけだが、「できるもんなら作るよ」という、なんともゆるい食堂のマスターを演じているのが、俳優の小林薫だ。
「この『深夜食堂』は2009年のテレビドラマシリーズからスタートしているから、マスターは8年目。なのにまだ本名すらわかんないんだよね(笑い)」
謎が多いマスターを慕って集まってくる常連客たちも、ひと癖ありそうな人物ばかり。
「みんなどこかにいそうな人たちなんだよね。味わい深いというか…」
味わいといえば、この作品の大きな魅力がマスターの作る料理の数々。定番の豚汁にはじまり、ナポリタン、焼き肉定食、卵焼きなど、見ているだけでおなかが鳴ってしまう。
「料理はフードスタイリストの飯島奈美さんが手がけてくれているんですが、見た目だけじゃなくて本当においしい! あの料理が食べたいから『深夜食堂』に出演したいという役者さんがいるくらい、おいしいんです」
通常、ドラマや映画などでは“おいしそうに見える”ことに重点を置きがちだが、『深夜食堂』では“実際に食べておいしい”料理を登場させる。