地元テレビ局が暴いた“ドンの不正”の反響は大きく、他メディアが次々と後追いし、領収書の書き加えや白紙の領収書への記載など、ずさんな不正受給の手口が芋蔓式に明らかになった。宮城さんの話。

「本気で追及したら、議員が誰もいなくなるかもしれないという不安もありました。でも、不正を放置しておくことはできない。とにかく調べてみようと頑張りました」

 結局、明らかになった不正受給(2011~2015年)の額は約3300万円に達した。富山市議会の問題をきっかけに、宮城県、山形県、富山県、石川県、奈良県の県議会でも政務活動費の不正や不適切な受給が発覚している。とどまるところを知らない政務活動費の不正受給に、ますます「不要論」が高まっている。

 女性セブンが47都道府県知事に行った「政治とカネ」についてのアンケートでは、知事に議員の政務活動費の是非についても聞いた。知事に政務活動費は支給されないが、全国に広がる不正受給問題に関する行政の長としての見解を知るためだ。

「政務活動費は地方議員が政治活動をする上で必要か?」との質問には、25人の知事が「必要だ」と回答した。

 主な理由は以下の通りだ。

「議員の調査・審議能力の強化、ひいては議会の活性化に資するものであるため」(愛知県・大村秀章知事)

「適正な民主主義のために、議会側での調査活動は肯定できるが、徹底した透明性の確保と使途の適正化は当然の前提」(鳥取県・平井伸治知事)

 一方で、政務活動費を「必要ない」とする知事はひとりもいなかった。また、「議会や議員が判断すること」などと答えた知事は14人に上った。

 これだけ不正が相次ぐ中で、それでも政務活動費は本当に必要なのか。元三重県知事で早稲田大学名誉教授の北川正恭さんは、「政務活動費は民主主義に必要なコスト」と言う。

「中央集権から地方分権になり、議会の役割が増すという流れの中で、議員が自ら調査活動をするために政務活動費がつくられました。議員が知事の議案内容を調査したり、逆に自ら議案を出すための勉強や視察をするにはお金がかかります。もちろん、不正や無駄な受給は論外ですが、政務活動費を有効に利用すれば有権者の利益にもなります」

 上脇さんも「政務活動費不要論」に反対する。

「必要な経費は税金で賄うのが民主主義。政務活動費をなくすと、仕事をしない議員が横行し、議会のチェック機能がますます働かなくなり行政が喜ぶだけです。議会の少数派が一生懸命仕事をすると、生活費のための報酬を議会の政務活動につぎ込むことになり、仕事をしない議員との間で不公平が生じます」

 実は政務活動費が効果的に使われた好例が、豊洲市場の移転問題だった。

 延期はするが豊洲移転は変わらないという“既定路線”から一転、今のように都の「ブラックボックス」追及へと潮目を変えたのは、9月にいち早く豊洲市場の主要施設地下を視察した共産党の都議団だった。

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン