応援上映のほかにも絶叫上映など、声を出してもよい映画の上映会はキンプリより前から行われていた。では、なぜキンプリによって爆発的な広がりを見せたのか。

「監督によってキンプリが応援上映を想定して作られたことが大きいと思います。たとえば、キャラクターの相手役になりきってアフレコができる『プリズム☆アフレコ』というものです。女の子が男性キャラクターにソフトクリームを食べさせるシーンでは、お客さんがキャラクターと会話している気分になれるように、女の子のセリフを“ア~ン”という字幕だけにしています」

 さらに、セリフの後に一定の間を作ることで、観客がキャラクターに対して声援を送ったり、ツッコミを入れやすいようにしている。こういった工夫によって、観客が気持ちよく声を出すことができるのだ。

「応援上映によって劇場全体に一体感が生まれ、『まるでライブみたいで楽しい』と、SNSを中心に口コミが拡散。テレビで取り上げていただいたこともあり、人気が広がっていきました」

◆観客のユニークなツッコミに衝撃

 観客のアクションを促す仕掛けが随所にちりばめられているキンプリだが、予想していなかった声援やツッコミに驚かされることも多かったという。

「初日の応援上映で、“苦手な食べ物は何だい?”というキャラクターのセリフに対し、『ピーマン!』と答えたお客さんがいたのは衝撃的でした。劇場もドッと盛り上がっていましたね」

 ほかにも、キャラクターが登場して自分の名前を言うと「いい名前!」「みんなに言いたいことがあります!」というセリフに「なーにー?」といった合いの手も。おもしろい声援やツッコミはSNSで拡散され、お約束になっていく。また、応援上映を初体験したお客さんが、『私もあのツッコミが言いたい!』と、再び劇場に訪れることも多く、リピーター獲得にもつながっている。また、予告上映でも応援をすることに衝撃を受けたという。

「映画の違法ダウンロードを注意する『映画泥棒』の映像になると、みんなで赤のサイリウムを振るんですよ。応援上映は本編からではなく、予告から始まっているんですね」

◆応援上映を通じて友達ができる

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン