興行収入が70億円を超え、2016年公開の実写映画興行収入暫定1位と、大ヒット中の『シン・ゴジラ』。作品のおもしろさはもちろん、“発声可能上映”と銘打った特殊な上映が全国各地で行われたことで、大きな話題を呼んだ。
9月15日にTOHOシネマズ新宿で行われた“発声可能上映”とキャスト・スタッフによる舞台挨拶のチケットは、わずか30秒で完売したというから驚く。
◆声援とサイリュウムで劇場がコンサート会場に
発声可能上映とは、映画の上映中に声を出してもよいとする鑑賞スタイルのこと。サイリウムやペンライトの持ち込みや、コスプレが許可されており、観客は登場人物の名前や劇中のセリフが書かれた手作りのうちわやサイリウムなどを手に、思い思いのコスプレ姿で、スクリーンに向かって声援を送る。会場が一体となって盛り上がる様子は、まるでライブのようだ。
この革新的な映画の鑑賞スタイルは、2011年『けいおん!』や2016年『ラブライブ!The School Idol Movie』など、アニメ劇場作で多く実施されてきた。それが今年に入り一躍ブームとなったのは、1月に公開された『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』の影響が大きい。
『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』(以下、キンプリ)は、女児向けのテレビアニメ『プリティーリズム』シリーズの公式スピンオフ作品。プリズムスタァを目指す主人公の男の子が、歌とダンスとフィギュアスケートが融合したショーを披露するために困難に立ち向かう成長物語だ。
1月の公開時はわずか14館での上映スタートだったが、作品の魅力に加え、応援上映のおもしろさがインターネットで話題になり、上映館数はのべ130館に拡大。現在も公開中という異例のロングランを記録している。
キンプリのプロデューサーであるエイベックス・ピクチャーズの西浩子さんは、応援上映を企画した理由を次のように語る。
「実は、応援上映はキンプリ以前の2014年に公開された『プリティーリズム』の劇場作品、『劇場版 プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン』から行っていた催しです。これが好評だったため、キンプリでも応援上映を行うことになりました」(西さん、以下「」同)
◆応援上映を前提に製作されたキンブリ