『スター・トレック』を始め、昨年大ヒットした『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でも、プロデューサーを務めたJ.J.エイブラムス氏(50才)。
彼は、その才能からルーカス、スピルバーグの後継者との呼び声も高いが、その素顔とはいかなるものなのだろうか? 創作の発想の根源にあるのは、ごく日常の親子や恋人同士の会話、ふれあいからである、と言い切る。
「ぼくの好きなアクションアドベンチャーの大作は、誰もが実際には経験したことのない世界を描いています。つまり、現実離れしているんです。そんな中で想像力を働かせて、現実としてリアリティーのあるストーリーにするためには、キャラクターである彼らの目を通してその世界を信じてもらうしかない」(J.J. 以下「」内同)
そのため、まずプロデューサーの視点で、演技力を重視して俳優を選ぶ。
「アクションだけでは、共感を呼ぶ作品はできません。人間を、愛情や友情という人間関係を、きちんと描くことが大切なんです。人間が描かれていなければ、映画として成立しません。そのために、それが演じられる俳優をキャスティングします。
その役に真実味を出すことのできる俳優を探すのです。当たり前のことのようだけれど、まるで演技をしていないように、役になりきれる人が必要なんです。一生懸命演じているというのではなく、自然に演じられる俳優がね」
プロデューサーとして、いつしか俳優論に熱がこもる。
「人々の心を動かしたり泣かせたり笑わせたりするということは、本当に貴重なものであり、それこそ俳優の技量だと思うんです」
そして、「時代が変わっても、人種や育った環境が変わっても、人の心は変わらない」と言う。今の私たちと同じようにはるかな未来でも、銀河宇宙が舞台でも、そこに生きる人の心は変わらないはずだ、と。
また彼自身、これまでの作品で黒澤明や小津安二郎などの映画から、家族や仲間といった人間関係を描いた部分を参考にしている、と語っている。
「人間の感情を世界で最も美しく表現しているのが、日本映画だと思うんです」
映画に限らず、彼の日本びいきは相当なもの。日本の好きなところをと聞くと、たちどころに、