11月13日に初日を迎える大相撲九州場所は、先場所で初優勝を果たした大関・豪栄道の綱取り、横綱・白鵬の通算1000勝など話題が多い。だが、角界関係者が注目するのは、土俵外のきな臭い動きだという。
九州場所を直前にして、相撲協会の公式HPから「春日山部屋」の名前が消えた。番付発表に先立つ10月19日、春日山親方(元幕内・濵錦)が相撲協会からの辞任勧告を受諾したと発表され、部屋が消滅したのである。
騒動の発端は2012年の協会理事選まで遡る。理事に選出された先代春日山親方(元幕内・春日富士)は、部屋運営との両立は困難だとして、同じ一門の追手風部屋にいた濵錦に現役引退させ春日山親方として部屋を継承、自分は部屋付きの雷親方に収まった。
「ところが同年9月、先代に協会女性職員との不倫と不正経理問題が発覚。先代は年寄名跡証書を手元に置いたまま協会を退職し、春日山親方は証書を担保に取られたかたちで先代に家賃を支払いながら部屋運営をしていました」(協会関係者)
翌年10月には先代が「家賃滞納」を理由に部屋からの立ち退きを求めて提訴。その翌月、今度は春日山親方が名跡証書の返還を求めて横浜地裁に訴状を提出し、泥仕合に発展したのだ。
今年8月の地裁判決は、春日山親方に証書の対価として1億7160万円を先代に支払うよう命じるものだった(滞納訴訟は和解)。この判決を受け、協会は「部屋の師匠として不適格」として辞任勧告を通達した。
「とはいえ、春日山親方は地裁の判決を不服として東京高裁に控訴しています。なぜ8月の地裁判決を受けて、11月場所前のタイミングでの処分なのかが不可解です」(担当記者)