時代劇ファンの支持を集め、好評のNHK大河ドラマ『真田丸』。物語はクライマックスに突入。これから、豊臣軍の将として、真田幸村(堺雅人)が徳川軍と戦う「大坂の陣」が描かれていく。これまで有名、無名問わず多くの俳優が出演し、注目を集めてきたが、時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが着目したのは、明石全登(あかしてるずみ)役の小林顕作(こばやしけんさく・45才)だ。小林は意外な作品に出演しているようで…。その経歴と魅力について、ペリー荻野さんが解説する。
* * *
『真田丸』では、ひげ面で一見、強面だが愛妻家の小山田茂誠役の高木渉(主人公・真田信繁の義兄)、イケメンボイスで御屋形様上杉景勝(遠藤憲一)を助ける直江兼続役の村上新悟など、「これ誰?」と思う舞台系の俳優たちが注目を集めてきた。
高木が『忍たま乱太郎』の滝夜叉丸先輩の声優だと知ってびっくりしたり、 村上が「無名塾」出身でついこの前まで家賃2万円の部屋に暮らしながら演劇一筋生活だったと語るなど、その素顔の含めて楽しませてもらってきたのである。
そしていよいよ徳川との激戦が近づき、大詰めとなった今、彗星の如く現れたのが、明石全登役の小林顕作である。実際は、彗星というよりは、月夜に信繁(=幸村・堺雅人)が隠棲する村に現れ、大坂城へと迎えにきた黒マントの謎の怪人だった。真田と同じく関ヶ原で敗れた宇喜多秀家の家老だった明石全登。名前を「てるずみ」と読むことも難しい男だが、胸に秘めた思いはもっと難しい。
幸村とともに大坂城に入り、豊臣方についた十万の牢人のリーダー五人衆のひとりに選ばれ、ともに戦うことになっても、「豊臣の味方するいわれはない」なんてことを言いだすのである。じゃ、なんのためにここへ?と幸村が訪ねると、彼の目的はひとえにキリシタンの信徒を増やすことで、キリシタン禁止令を出した徳川を許すわけにはいかないと口ひげをふるわせて言うのである。