丹後半島に位置する海と山に囲まれた人口約6万人の小さな港町が脚光を浴びている──。京都府京丹後市には100歳を超える長寿者(以下、百寿者)が77人(男11人、女66人)もいて、“日本一の長寿村”として全国に名を知られるようになった。これは人口10万人に換算した場合の百寿者が133人で、全国平均(48.45人)の約3倍になる。
そんな百寿者たちはバランスの良い食生活を送っている一方で意外な傾向も見えてくる。100歳超えのお年寄りの撮影をライフワークとし、約200人の百寿者に出会った写真家の小野庄一氏は言う。
「驚くのは、意外にも脂がのったものを食べていること。肉やフライドチキン、ウナギやマグロなど。健啖家が多い印象があります」
「夫婦そろって100歳超え」として、昨年の敬老の日に長野市長から祝福された山野井美貞・よしのさん夫妻。美貞さんはその年の大晦日に亡くなったが、よしのさんは現在101歳。耳が遠いよしのさんに代わって、娘の伊藤時子さん(66)が答えた。
「ハンバーグと唐揚げが好物です。ウインナーや焼豚みたいなお肉も好き。魚はサケやサバやカレイなど。タラコも好きで、しょっぱいから控えるように言うんですけどね。お味噌汁は2日に1回くらいです」
それでも、動物性たんぱく質に偏っているわけではない。
「畑で採れた季節ごとの野菜も食べています。一年を通してよく食べるのは、ジャガイモ、タマネギ。果物はナシやリンゴ、今の季節は柿を食べていますね」