松平健は勝新太郎の弟子をしていた時代があるが、その頃は大映京都撮影所で撮影していた。その後、『暴れん坊将軍』は東映京都、そして一連の池波時代劇は松竹と、京都の三つの撮影所で時代劇に出演してきた。
「京都がホームグラウンドという感じです。人生の半分以上は京都にいるようなものですから。
でも、撮影所によって雰囲気は違います。東映は明るく楽しい時代劇が多いのもあってか、スタッフも賑やかです。しょっちゅう怒声が飛び交っています。
大映はセットや照明がリアルでした。その大映が無くなって、松竹にその流れが来ているので、地味な感じはしますが長屋とかの雰囲気が凄くいいんですよ。生活感がある。時代劇もシリアスなのが多いです。だからか、スタッフも皆さん無言で働く。
それから、『顔』では勝先生に付いていた頃のスタッフがまだいたので、久しぶりに会えて嬉しかったですね」
●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。
◆撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2016年11月18日号