経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は絶体絶命の韓国・朴槿恵大統領の精神状態を考察。
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権力抗争や嫉妬渦巻く人間関係を描いた韓流ドラマの上を行く事件に、韓国が揺れている。
主役は朴正熙大統領の娘で、朴槿恵(パク・クネ)大統領。そして、もう一人の主役は、宗教家崔太敏氏の娘で、朴大統領の親友である実業家の崔順実(チェ・スンシル)容疑者。
脇役で出てきたのは元首席秘書官に、秘書室長だった崔容疑者の元夫や愛人、大統領官邸の青瓦台で働いていた崔容疑者の元トレーナーなど彼女の息のかかった人間たち。
機密情報の漏えいや国政介入疑惑に始まり、財団設立に大企業からの寄付に資金流用、崔容疑者の三角関係からその娘の不正入学まで、ありとあらゆるスキャンダルが盛りだくさんなのだ。
一国の大統領が宗教家親子に傾倒していたというだけで危ない匂いが漂うが、崔容疑者が青瓦台に自由に出入りし、国政に関わったかもしれないというのだから、マインドコントロールにかかっているのでは?と、誰もが疑いたくなるのも無理はない。
マインドコントロールを受けた人の目は、生気を失い表情が乏しい。アメリカの文献では「サメのように死んだ目」と表現されていると、岡田尊司氏著『マインドコントロール』に書かれている。
だけど、マインドコントロールを受けた人が、いつもそんな目をしているわけではない。普段は幸せそうだという。特にそういう反応を示すのは、家族と思っている人たちや信念を否定されたり、攻撃してくる存在に対してらしい。
サメのように死んだ目って、どんな目…?と思いつつ、朴大統領が国民に謝罪した9分間の談話を見た。確かに生気がなく表情に乏しいが、謝罪会見では仕方あるまい。やや腫れぼったいまぶたは、会見前日、号泣したせいらしい。
安倍首相と会見した時の朴大統領は、反日のせいか総じて無表情だけど、どこか嫌悪感を含んだきつい目をしていた。それが今回の談話では、ややむくんだまぶたの奥で、瞳が悲しげというより、感情が抜け落ちたように暗く沈んでいる。
生気のない暗い目は、「すべての縁を断ってきたが、今後はわずかな縁も断っていく」と孤立無援を宣言したように、誰からも心を閉ざそうとしているのを表しているようだ。
談話中、朴大統領はたった一度だけ、唇をしっかと結んだ後、下唇を舐めるかのように、ほんのわずかだけ舌先を出し、唇の間にはさんだ。それは冒頭、崔容疑者の事件について謝罪し、「特定の個人について、数々の違法行為を犯したことは、あまりにも残念で痛ましい思い」と述べた時だ。
人はストレスを感じると、口が渇くため唇を舐めやすい。不安や動揺、緊張が強くなると、気持ちを落ち着かせようと、無意識のうちに唇を舐めることも多い。
加えて、それを受け入れたくない、拒みたいという気持ちが、心の底のどこかにある場合、その潜在意識が舌先を唇にはさむという仕草になって出てくることがある。
朴大統領にとって、崔容疑者が逮捕されたのは、事実として理解していても精神的には受け入れ難く、国民を失望されたことより、残念で痛ましいことなのだろうか…と、勘繰りたくなってしまう。