すでに3社とも積極的に海外への路線拡大を図っている。
例えばジェットスターは香港や台北など日本人観光客に人気の都市だけでなく、今年4月にはマニラ線を新設した。また、バニラは香港や高雄(台湾)、ピーチも台北、ソウル(韓国)便などで鎬を削る。今後各社は海外の空港を拠点にして、さらに東南アジア各国を結ぶ構想も持っている。
また、これからLCC同士で激しい顧客争いを繰り広げそうなのがグアムやサイパン、フィリピンのセブなどのリゾート地だ。経営再建中のスカイマーク・エアラインズが小型機でグアムやサイパンへの運航を計画しているほか、バニラも同地域への進出を狙っている。
「グアムやサイパンはほとんど日本人相手の路線で、ハワイのように年間需要も見込めるので、まだ稼ぎやすい路線といえるでしょう。
問題は燃費効率のよい次世代機を導入して行き先をもっと延ばせるようになった時、日本のLCCのブランド力や信頼性が世界各国でどこまで通用するか。海外LCCのライバルたちも徹底的なコスト削減と認知度アップに余念がないので、やみくもな事業拡大は禁物です」(前出・赤井氏)
脱ローコストキャリアを志向した拡大路線で経営破綻に追い込まれたスカイマークと同じ轍を踏まないためにも、3社にはより一層の足場固めが必要だろう。