「普通」の人々の中の、小さなゲイジュツ。一人ひとりの中にある、夢見る姿。とにかく描きたくて、作りたくて、という無垢な情熱。そんなほとばしりが突然、鮮やかにかいま見える時。ドラマではないのに、まさしくドラマチック。
作られた感動物語ではないのに清々しい気持ちになる。浄化されていくような気持ちになる。「人って捨てたものじゃない」「明日も前向きにいこう」とささやかな勇気をもらう。一つの小さな場所にこだわることで、そこから無限の世界が見えてくる。最後に響く松崎ナオの声。一瞬の温かなシアワセを分かち合おうというメッセージが、歌を通してじわりと余韻を残すのです。
平凡な生活の中にある一瞬のきらめき。もしかしたら、人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』と『ドキュメント72時間』とは、まったく違うようでいて、どこか重なりあっているかもしれません。
美男子でもなければモテるわけでもなく、普通に不甲斐なさや不器用な自分を抱えている、星野源演じる津崎平匡というオトコ。実に「普通」そうな人に、視聴者は自分自身を重ねて、その中にドラマを見ている、という意味で。もしかしたらこの2つの番組、両方楽しんでいる視聴者は案外多いのかもしれません。