あの『深夜食堂』のモデルが大阪にあった! 同作の大ファンであるコラムニストのオバタカズユキ氏が突撃取材した。
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現在、全国の劇場で第二弾の映画が上映中、動画配信サービスのNetflixでも10話ぶんの新作ドラマが190ヵ国に向けて配信中、という『深夜食堂』。
原作マンガを含め、あの作品独特の世界観、ダメ人間やワケあり人間でもそのまま正直に生きていていればいいんだよ、と包み込んでくれる居心地の良さにハマるファンは多い。そして、ファンのうちの少なからずが、作品の中だけではなく、リアルの世界にも「深夜食堂があってほしい!」と願い、夜中の12時から朝まで営業する「めしや」を探している、はずだ。
私もファンの一人として、これまで幾度となく検索窓に「深夜食堂 実在」「深夜食堂 リアル」「深夜食堂 店舗」などのワードを入れ、「めしや」探しにエネルギーを費やしてきた。
『深夜食堂』の「めしや」は、新宿歌舞伎町のゴールデン街に店を構えているわけだが、実際のゴールデン街に似た店はない。ダメ人間になれるまで飲める店なら無数にあるけれど、あくまで夜食をとりに常連たちがマスターを慕って通い詰めるような食堂は存在しない。
検索しまくって、長崎県長崎市にイメージの近い食堂を発見したが、こちらの住む東京からはあまりに遠い。735円のハンバーグ定食のために長崎へ飛ぶという贅沢はやってみたい。でも、そこまでの余裕はない。
そんなこんなのある日、なにかの拍子に、『深夜食堂』の「めしや」のモデル店はココだと断言する、ブログの記事を見つけた。「深夜食堂 モデル」で検索すると、やっぱり同じ店名が出てくる。ガセネタではないらしい。
大阪市の天王寺町南にある、串かつ「やぐら」。どうやら、そこが本当に「めしや」のルーツであるようなのだった。
不思議なものである。「やぐら、大阪、串かつ、大阪、深夜食堂、大阪……」と頭の中でぐるぐるやっていたら、その数日後に、大阪出張の仕事が発生した。宿泊可、前の夜は飲みながら打ち合わせを、とのご提言。すばらしい。