国内

ポケモンにくまモン、地場産品も 復興支援の形は無限

チャリティイベントで振る舞われた料理

 被災した農家をどのように励まし、支えるのか。全ての「知恵」を投入した支援策を、食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が紹介する。

 * * *
 災害からの復興支援の形が変化しつつある。災害直後の「寄付」や「義援金」といった直接の支援だけでなく、「観光客誘致」「御礼行脚」「生産者支援」など支援やPRの形が多様になってきている。

 東日本大震災の復興支援で「ポケモンGO」を運営するNianticが岩手、宮城、福島の3県の沿岸部で、11月23日までレアポケモン「ラプラス」の出現率をアップさせている。めったに出現しないレア物が取り放題とあって、ユーザーが沿岸部へと詰めかけ、観光客の誘致に一役買う形となった。

 一部に「ラプラスばかりが注目を集め、震災の記憶の風化を防ぐ本来の目的が達成できたかには疑問が残る」(日経産業新聞11月17日付)との見方もあったが、初回からパーフェクトな施策を求めるほうがどうかしている。震災後、いまだ観光客の客足が戻りきらない沿岸部を多くの人が訪れ、被災地をめぐるバスツアーも催行された。ただ批判的な一文で煽るよりも、今後、どう改善しながら継続的な支援につなげるか、が大切なはずなのだが……。

 一方、11月11日、熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」が茨城県庁を訪れた。目的は、今年起きた熊本地震の被災地支援へのお礼を伝えること。「くまもとから感謝をプロジェクト!」と銘打ち、熊本を除く全国46都道府県を3年かけてめぐるという。2016年度は北海道、宮城、愛知、沖縄など16道県を訪問。残り2年で30都府県を巡る予定となっている。支援元の自治体との関係を深め、熊本の復興状況をアップデートする機会にもなる。

 遠い地域で起きた災害の記憶は薄れやすい。くまモンという強力なアイコンあってこその施策ではあるが、訪問先のローカルニュースなどで取り上げられ、結果、熊本が想起されることになるはずだ。

 11月4日東京、11月12日京都で「ガンバレ十勝 チャリティダイニング」というチャリティイベントが行われた。芽室、十勝清水、新得の3つのJAから十勝のさまざまな農畜産物が集められ、東京・京都合わせて60人の料理人が220人の参加者に向けて料理を振る舞った。しかも「食べて応援」というだけではなく、ネット通販を使ったクラウドファンディングにつなげるための見本市。目的はJA十勝清水町のネットショップ内に設けられた「チャリティ頒布会」だ。

 決済した金額に応じて、十勝の産品の詰め合わせが送られてくる。一見、通販モデルのようでもあるが、狙いは被害を受けた生産者と消費者をつなぐ仕組みづくり。十勝を襲った台風は、農地などに甚大な被害を及ぼし、その復旧には数年~10年以上もかかると言われている。離農の危惧すら囁かれるなか、多角的に生産者を支えようという試みだ。

関連記事

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト