「米国や欧州では自動車販売が伸びています。それは年初からの原油安のメリットが大きい。米国では実質所得が過去20年で最高の伸びです。日本でも下がり続けていた実質賃金が2月から上昇に転じ、原油安のメリットがようやく出てきている。米国のシェール増産はこの流れに勢いをつけるはずです」(同前)
経済が好転なら、安全保障はどうなるのか。安倍首相は米大統領選翌日の電話会談でトランプ氏から、「安倍首相の経済政策を高く評価している。今後数年間、共に働くことを楽しみにしている」という言葉を引き出した。自民党総裁任期まで1年半あまりの首相にわざわざ「数年間」といったのは総裁3選を意識した言い方だろう。
さらに安倍首相は11月17日、ペルーで開かれるAPEC首脳会議の前に米国に立ち寄り、外国首脳では初めてトランプ氏と会談した。
「就任前の大統領との“首脳会談”は外交上異例だが、受け入れたトランプ氏側もそれだけ日米関係を重視していることを示している。1月には安倍首相が再訪米して一緒にゴルフをする案も調整が進んでいる。外交用語で馬が合うことをケミストリーというが、理詰めではなく直感タイプの2人はやはりケミストリーが合うようだ」(外務省筋)
※週刊ポスト2016年12月2日号