安倍首相が設置した私的諮問機関「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)が行なっている専門家へのヒアリングで、生前退位に対する反対論が噴出している。
ヒアリングは11月7日から始まり、11月30日まで計3回、平川祐弘・東大名誉教授やジャーナリストの櫻井よしこ氏など16人の専門家に天皇の生前退位について“意見”を聞くというもの。14日の第2回ヒアリングまでに11人が登場した。
そのうち6人は基本的に生前退位に反対で、高齢で天皇の公務に支障が出るのであれば、代わって公務を行なう「摂政」を置くことで対応すべきだという意見が目立った。4人は、今上天皇一代に限って生前退位を認める臨時措置法で対応すべきなど、“条件付き賛成論”と考えられる。
安倍首相は有識者会議の議論を踏まえて、天皇の公務軽減や法改正に取り組む方針だが、現在のヒアリングの流れからすると、天皇が“辞めたくても辞められない”という方向に向かっているようにも思える。
過去の有識者会議や専門家のヒアリングが政治決断にどう利用されてきたかを辿ると、“政権の本音”が見えてくる。