プロ野球界は現在オフシーズン。選手たちは“契約更改”というもう一つ大事な闘いに挑んでいる。景気のいい話題で契約更改シーズンの口火を切ったのは、史上初となる2年連続トリプルスリーを達成したヤクルト・山田哲人(24)だった。
「球団側から1億2000万円増の3億4000万円を提示されたと大々的に報じられた。ヤクルトの日本人選手では史上最高額。7年目の野手としてはイチロー(43)以来の3億円超えとなります」(担当記者)
一方、巨人の内海哲也(34)は野球協約の減額制限を超える2億円ダウン(50%減)の年俸2億円でサインした。契約更改で明暗がくっきり分かれた格好だ。
個人事業主であるプロ野球選手の年俸は、球団との個別交渉で契約が結ばれる。誰がいくらでサインしたかが大きく報じられる一方、“どうやって額が決まるのか”はほとんど知られていない。そもそも、「年俸の交渉ができる選手」はごく一部に限られる。阪神タイガース球団社長を務めた野崎勝義氏はこういう。
「ファームの若手や一軍経験のない選手は、球団が一方的に金額を書いた統一契約書を提示してハンコをつかせるだけ。場所も二軍寮の会議室などで管理部長が1人で対応し、1日に20人ぐらいを一気に片付けます。拒否すれば解雇されるので、保留はありません」
準レギュラーにもなると、交渉の余地が出てくる。1人ずつ球団事務所に呼び出され、球団本部長クラスの交渉役が査定担当を同席させて対応する。
さらに中心選手や大物スターの場合には、事前に下交渉、予備交渉をするケースが多い。本番の更改をできるだけスムーズに終わらせるためだ。冒頭のヤクルト・山田の金額も下交渉の数字が報じられたものだ。