12月18日放送の最終回(第50回)まで、あとわずかとなったNHK大河ドラマ『真田丸』。大坂の陣で展開される真田幸村と徳川家康との攻防は、最後まで目が離せない。気が抜けなかった長期の撮影を終えた主演の堺雅人(43才)が、演じてきた幸村の人生やドラマについて振り返った。
――クランクアップ、お疲れさまでした。
堺:長い旅行から帰ってきたという気分です。旅が終わるのは淋しいんですけど、家に無事に帰れた喜びと、安堵がありましたね。今は、ご飯を作って食べて、風呂を沸かして入ってという普通の生活を、新鮮な気持ちでやっています。
1年2か月という長い撮影は生まれて初めてでしたし、今回の撮影をよく旅に例えていたのですが、考えてみると1年2か月も旅行をしたことはありませんでした。本当に得難い経験をさせていただいたなと思います。
――モチベーションを保つのは大変そうですね。
堺:いえ、水先案内人が三谷幸喜さんなので、気は楽でしたよ。しっかりしたスタッフで固めているし、出会う俳優は一流ばかり。どんな役者がやってもそれなりのものができるんじゃないかというぐらい素晴らしい旅だったので、モチベーションを失われることはありませんでした。
ただ、自分のペースで何事も進まないなというのは思いましたので、途中から、無理をしないよう心がけていました。それから、ご飯をちゃんと食べること。俳優は得てして、単発のドラマでは体重を制限したりして、自己満足に陥ることがあるんです。でも今回それやったら、もたないなと思いました。
初めてのロケの時に、草刈正雄さんに「ちゃんとご飯を食べた方がいいね」と言われたことが、すごく耳に残っているんです。主役の交代式にでも、柴咲コウさんに申し伝えようと思っています(笑い)。痩せようとか太ろうとか、そんなこと考えていたら、もたない生活だったと思います。
――幸村は、大坂城に移住してからリーダーとして動き始めますね。
堺:確かに現場を引っ張っていかなきゃなと思っていたんですけど、別の人が幸村を突き動かしていた気がします。それは父・昌幸であり、石田三成であり、豊臣秀吉であり、茶々であり。色んな人たちの声で動いていたので、自分でこれしなきゃというのはあまりありませんでしたね。結局幸村は、何ひとつ自分で決めたことがなかったんだなという気もするし、それは演じていて面白いところでした。
――堺さんはよく、幸村はサラリーマンのような人生だと例えていますね。
堺:大坂の陣を演じている時、市役所の課長さんクラスがこんな感じなんだろうなって思ったんです。任された現場に行って、不測の事態に上からの連絡が途絶えた時点で、現場の最高責任者として何か決断するという状況ですね。
幸村の人生は平凡といえば平凡だし、平凡な人が非凡なことをしたお話の様な気もします。いいやつだったんだろうなと思います。
―― 十文字槍を使う必然性を、スタッフとかなり研究していたそうですね。