女性セブンのアラ還名物記者“オバ記者”こと野原広子が、ちょっとおかしな世の中に斬り込んでいく! 今回は“タトゥー”のお話です。
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もし居酒屋で隣り合った人の腕や首から、チラリと絵や文字が見えたらどうするか。私は穏やかでない空気を勝手に感じて、話題に気をつける。てか、かかわりになる前に、ささ、帰ろ。
だからよく行く日帰り温泉の入り口の「入れ墨のかた、お断り」という張り紙は当然だと思っていたけど、「外国ではファッションだから、受け入れてもいいんじゃない?」という意見もあるんだってね。
観光庁は「シールなどで覆う」「家族連れがいない時間帯に入浴してもらう」「浴室を分ける」などの条件を提案しているそうだけど、聞けば聞くほど“苦肉の策”。「お断り」で何が悪い、と私は言いたい。
◆ウィーンで見た親子の天使の羽
それにしても、何で入れ墨をするのか。あれを「カッコいい」という感覚がわからないんだわ。
数年前、初めてウィーンに行ったときのこと。ドナウ川の川沿いの、「カット29ユーロ(約3800円)」の美容院にふらりと入ったら、真ん中にガラス張りのブースがある。のぞくとタトゥーコーナーで、若いマッチョマンが、10代のお兄ちゃんの腕に機械を当てていて、楽しそう。
こんなお手軽さで、入れ墨を入れるのかと驚いて街を見ると、20代の男女の3分の1くらいが入れてるの。極めつきは地下鉄で見かけた若いママとパパと5才児くらいの男の子。お揃いの天使の羽根の彫り物を手首にしてるんだよ。
イタリア、ローマのカフェで声をかけてきた、気のよさそうなお兄さんも忘れられない。私に「ジャパニーズ?」と言いながら、「アイアムア、チャレンジマン」と腕の文字を誇らしげに指すんだわ。見れば“朝鮮”とクッキリ。
今年の9月に行ったときは、もっとすごいことになっていて、日本でいえば、朝ドラの主人公のような清純そうな女性も、バラだの、星だの、マリア様が体のどこかに。腕にきれいに並んだ50音には思わず笑っちゃった。
◆ファッションなら見せてナンボなのに