21世紀は災害の世紀だといわれている。そして、災害のたびにボランティア活動も脚光を浴びている。チェルノブイリや福島などへの医療支援活動を続けている鎌田實医師が、同じように被災地支援をせずにはおれない、放っておけない病気にかかっているという歌手・さだまさしとともに、2016年8月に発生した台風10号の被災地、富良野へ旅したときのことをつづる。
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「空知川だ」
ドラマ『北の国から』の第一回目の、最初のセリフだ。
その空知川が8月末、氾濫した。台風10号から変わった温帯低気圧がもたらした大雨により、堤防が決壊。南富良野町を中心に、大きな被害をもたらした。
まだ被害の爪痕が残る10月末、空知川と縁浅からぬさだまさしさんとぼくは南富良野町を訪ねた。被災した人へ支援金を手渡し、コンサートを開くためだ。
まさしさんは10年間ほど、諏訪市に住んでいたことがあるが、そのころからのつきあいである。特に、東日本大震災のときには、二人で何度も被災地へ行った。
「鎌田先生、これだけの支援をしていたら、お金が必要でしょう」
まさしさんは、愛知県の豊田スタジアムを無料で借りて、ぼくとまさしさんのトーク&コンサートを開いた。その収益を福島のいくつかの小さなボランティア団体に寄付することができた。
被災地に入るときには、仰々しく見えないように、気をつかっていた。避難所や公民館に集まった人たちの様子をみながら、「歌ってほしい」という空気を感じたら、やおらギターを取り出して、即席のコンサートを開いた。そのために、外目からはギターとわからないような、折り畳みギターを作ったほどだ。