去る11月20日、南スーダンでのPKOに参加するため、自衛隊員約130名が青森空港を出発した。今後も随時派遣され、すでに現地で活動している自衛隊員350名と交代する。今回派遣される部隊は安全保障関連法にもとづいて閣議決定された「駆け付け警護」が新たな任務として付与されている。
「駆け付け警護」は、PKO下などで活動する国連職員やNGO職員らが武装集団に襲撃された際に、武力をもって救出・保護する任務だ。
現地は混迷を深めている。7月には首都・ジュバで大規模な武力衝突があり、約300人が死亡している。その際、政府軍兵士に襲われた援助団体職員から救助要請があったにも拘わらず、平和維持部隊は任務を放棄して動かなかった。中国から派遣された部隊は少なくとも2回、任務を放棄し、ネパールからの部隊は国連施設内部で起きた略奪を止められなかった。
「中国軍は士気が低く、責任感もない」と嘲笑するのは簡単だが、現地では国連を含む外国勢力に対する憎悪が増しており、大挙する武装集団を前に、中国の部隊に限らず平和維持部隊は人員的、能力的にも対応できなくなっているとの指摘もある。
しかし稲田朋美防衛相は7月の戦闘について国会で「法的な意味での戦闘行為ではない」「7月には衝突事案もありました」といった“安全”アピールに終始した。
自衛隊は実戦経験がないとはいえ、練度が高く、末端の隊員まで士気が高いとされている。だが、現状では、相当難易度が高いのではないか。
というのも、他国の軍隊に比べてあまりに縛りが多いからだ。「駆け付け警護」は、あくまで和平や停戦が成立しているなかで、局地的に危機が訪れた場合を想定している。