ピン芸人平野ノラ(38才)や桐谷美玲(26才)が出演する『Y!mobile』のCMなど、1980年台のバブル期をモチーフとするものが人気となっている。バブル期といえば、とにかく景気が良くて、豪快なお金の使い方をしていたというイメージ。一方、平成の若者たちはSNS社会で“場の空気を読みすぎる”術を身につけ、不況から“超安定志向”を学んだ「さとり世代」とも呼ばれる。
いわば、今のさとり世代は、バブリーな人々とはまったく逆の考え方だが、実は中にはバブルのような派手でバカバカしくお祭り騒ぎをする若者もいる。さとり世代の名づけ親で、『パリピ経済』の著者・原田曜平さんは次のように話す。
「今、流行をけん引する若者を“パリピ(パーティーピープル)”と呼んでいます。彼らは社交的でノリがよく、直感的に良いと思ったものに飛びつきます。消費をいとわないどころか、消費の火つけ役にもなる存在。ハロウィンを流行らせたのも彼らです。自己肯定感も高く、さとり世代の中では異質で、むしろバブル世代に共通点が見い出せるかもしれません」
しかし、ここ最近の“バブルブーム”と呼ぶべき事象とはほとんど関係ないのではないか、と原田さん。
「やはりバブル世代が懐かしんでいることが大きいと思います。今バブル期に流行した『写ルンです』や『ファミコン』も話題ですよね。でもそれはパリピを含め、若い世代にとって、“知らないけどなんかいいよね”っていうレベルでしかなく、バブルを理解してのことではないんです。
ただ彼らがバブル時代の話を聞くと、同じ日本の国じゃないような、ハリウッド映画を見ているような、すごいな、羨ましいなという気持ちにはなる。景気がよくて明るい雰囲気の日本に憧れているんですね」(原田さん)
「だってあの頃はキラキラしてましたから」と話すのはDJ・宇治田みのる(53才)。
「やっぱり言うても楽しかったですから。たとえばリアルに経験した50代の人たちが、高校生くらいの子供に“お母さん、バブルってなんだったの?”って聞かれても、みんな“うふふ”って笑ってごまかすと思うんですよ(笑い)。それって、やっぱりバブルにはどこかうしろめたさもあって、“なんてバカなことをやってたんだろう”って気持ちがあると思うから。でも同時に、街もディスコもみんなお金がいっぱいあふれていて、みんな羽振りがよさそうに見えて、毎日キラキラしてましたよね。