動脈硬化は、動脈にコレステロールや中性脂肪などが溜まって血管が狭まり硬くなり、柔軟性を失った状態をいう。動脈硬化が下肢、主にふくらはぎの動脈に起こり、血管が狭窄して血液が末端にまで流れにくくなるのが閉塞性動脈硬化症だ。
初期症状は足の冷えやだるさなどで、次第に歩くと足が痛み、止まると消える間欠性跛行(かんけつせいはこう)が起こる。さらに重症化すると足に難治性の壊死ができて日常生活にも支障が生じ、切断というケースも増えている。
治療は、生活習慣の改善と薬物治療などで対応するが、症状に応じて狭窄した血管内にステントを留置する血管内治療やバイパス手術なども行なわれる。しかし、再発も多く再治療になるケースもあるため、始まったのがLDLアファレシス(血漿交換)療法だ。
横浜市立大学附属病院腎臓・高血圧内科診療部長の田村功一主任教授に話を聞いた。
「この治療は、血液を一度体外に出し、LDL(悪玉)コレステロールを吸着して再び体内に戻す血液浄化療法のひとつです。従来は、家族性高コレステロール患者の閉塞性動脈硬化症に対して実施され、1992年から保険適用されています。今回はLDLコレステロール値が正常値の患者さんに対し、新規先進医療Bとして実施が認められました」
閉塞性動脈硬化症の患者は、必ずしもコレステロール値が高い人ばかりではない。そのLDLコレステロール値が正常、または薬でコントロールされている患者に対し、この療法を実施したところ、症状が改善した。そこで最終的に保険適用を目指し、先進医療Bに申請して承認された。