最終回の12月18日(第50回)に向けて、ラストスパートに入ったNHK大河ドラマ『真田丸』。手に汗握る展開が続いている『真田丸』について、撮影が終わって一息ついている徳川家康役・内野聖陽(48才)が振り返った。
――家康役を演じて、手ごたえは?
内野:テレビが壊れてしまって、自分の家康をちゃんと見れていないんですよね(笑い)。『真田丸』の家康は、簡単にいうと、鬼退治の鬼のような存在かなと考えていたんです。すると三谷(幸喜さん)さんが、臆病で慎重で気の小さい男として家康を描いていたので、非常に戸惑いました。当初は手探りで演じてましたが、三谷さんから「とてもよかった」とメールが来たので、安心したのを覚えています。
――三谷さんから、役作りの指示はあった?
内野:具体的にはないですね。今回の家康は私の慎重派なところをうまく利用されたのかな、と思いました。以前ご一緒した三谷さん作・演出の舞台で、性格を見抜かれたのかもしれないですねぇ。ぼくは石橋叩いて、叩き割っちゃう方ですしね(笑い)。
でも、ただ不安症というだけでは真田の敵になりえないので、中盤戦は悩みました。若い頃の家康は臆病でいいと思ったんだけど、真田にとっての強敵であり、大大名であるわけだから。そういう風格や威厳を見せながら、実は臆病、っていうのを垣間見せなきゃいけないかなと。
『真田丸』の家康って、悪役然としたキャラクターにもなれると思うんです。でも三谷さんの場合、家康に悪役になってほしくないという信号が、たくさん埋め込まれていたように思います。
――たとえば?
内野:最終回で、家康と真田幸村が対峙するシーンがあります。幸村よりも時代の先が見えている男として対峙させているんですよね。単なる悪役というよりは、愛を持ってと言うと変ですけど、慈悲の心を持って幸村と対峙したんじゃないかなと思います。
ただ単に真田が憎いとか鬱陶しいというだけじゃなくて、「これからは平和な時代だぞ。わしを殺してもいいけど、それでは何も変わらない、目を覚ませ」みたいな。親父が息子に言うような、慈しみの心をちょっと込められたかなと思っているんですけど。
――信繁(幸村)のことは、息子のような感情もあった?