女性セブンのアラカン名物記者”オバ記者”こと野原広子が、世の中の不条理に斬り込む! 今回は年末恒例の『NHK紅白歌合戦』の話題です。
* * *
「やっと、だよねえ」「もういいよぅ」「NНKもやるときはやるね」。私の周りでは紅白話でもちきりだ。毎年、出場者が発表になると、深い絶望感に襲われたのは、私だけではなかったんだと思うと、本当にうれしい。
大晦日は紅白をBGMに年賀状を書いたり、部屋の中を片づけたりするのが私の恒例だけど、ある時期から、えらく緊張するようになったの。
番組表で聴くに堪えない歌手の出番を下調べして、「そろそろ」となると、リモコン片手に、いつでも“消音”を押せるように指はボタンの上で待機。それで、「ここ!」というときに1秒の狂いもなく、って全く何やってんだか。そうまでして、なぜ見るのと言われそうだけど、アラカン世代にとって、紅白は年をまたぐための大事な通過儀礼。それとノスタルジーだね。
◆出場歌手全員が歌って踊った『ビギン・ザ・ビギン』
子供のころ、紅白の越路吹雪に目を奪われたのち、佐良直美に中村晃子、黛ジュン、天地真理を通って、中三トリオ。アイドル時代を経てバブルへ。「昔は」と言うのは、老人の始まりだそう。それでも言わずにいられないのは、かつての紅白の面白さよ。「うぉ~っ」と声をあげたことが何度もあったもの。
中でも1983年の紅白出場歌手全員が、歌って踊った『ビギン・ザ・ビギン』、ラテンバージョンは圧巻だったなぁ。
岩崎宏美、松田聖子、都はるみ、八代亜紀、小林幸子、杏里、郷ひろみ、野口五郎、西城秀樹も、千昌夫、森進一、五木ひろし、北島三郎、村田英雄も三波春夫も、みんなでフリフリの衣装を着て、舞台の端にいる大御所も決して手を抜かず、マンボを踊ったんだよ。必死に、楽しそうに。
これだけの歌手が、揃って集団練習をしたと思うと、それだけでもう胸が熱くなったわよ。
◆業界の理屈を丸呑みしなくちゃならない理由があるの?