経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、日露首脳会談で来日したプーチン大統領に注目。
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アメリカの経済紙『フォーブス』が発表した「世界で最も影響力のある人物」ランキングで、4年連続1位に輝いたロシアのプーチン大統領が来日した。選ばれた理由が「国内だけでなく、シリアやアメリカ大統領選に対し、影響力を持ち、欲しいものをなんでも手にできる」というのだが、果たして今回、プーチン大統領は欲しいものを手にしたのだろうか?
ロシア国民の支持率は80%以上と絶大な人気を得ているプーチン大統領は、世界最強・最恐の大統領としてカレンダーの売り上げも上々。なぜか日本でも、厚い胸板とキリッとした姿がタフ&ワイルドでかっこいいと予想外の売り上げだという。
カレンダーでは、いつもの鋭い視線だけでなく、犬や猫と戯れ微笑む顔が見られる。しかし犬好きの反面、愛犬を外交交渉の小道具に使ったのでは?ともいわれる。さかのぼること2007年、ドイツのメルケル首相との会談の時のことだ。
犬が苦手なメルケル首相の前に、大統領は黒いラブラドール犬を連れて登場。会談の最中、メルケル首相は近寄る犬を避けようと、終始、膝をぴたりとつけて足首を固く組んで椅子の下に引き込むと、不安気で落ち着かない表情を見せていた。それを見ていたプーチン大統領の顔には、なんともいえない不敵な笑いが浮かんでいた。
メルケル首相が犬が苦手とは知らず、怖がらせる意図はなかったと後に否定しているが、プーチン大統領の経歴を考えればそんなことがあるはずもない。KGBで様々な諜報活動を行ってきたという経歴は、よく知られたところだ。
相手よりいかに心理的優位に立って交渉を有利に進めるか、大統領はその道のプロだ。遅刻魔としても知られているが、これは相手を待たせて心理的圧力を感じさせ、自らが格上だと印象づけるための手段という見方が強い。