ピコ太郎のヒット曲『PPAP』、つまり「ペンパイナッポーアッポーペン」には多くの「パ行」が入っている。「パピプペポ」のことを「破裂音(はれつおん)」というのだが、これに着目すると、ヒットした背景も見えてくる。ピコ太郎のほかにも、ゲームアプリ「ポケモンGO」や、オリエンタルラジオによる「PERFECT HUMAN(パーフェクトヒューマン)」など、今年は「破裂音」が目立った。
ベッキーの休業で危機に陥ったサンミュージックを支えるべく大活躍したのは、お笑いコンビ「メイプル超合金」。「斉藤さんだぞ」で知られるトレンディエンジェル・斉藤司のもう1つのギャグ「ペッペッペー」。アメリカ合衆国次期大統領には「トランプ」氏が選ばれた。今までマイナーだった「パクチー料理」が「今年の一皿」になったのもそのひとつだ。
◇「パピプペポ」の気持ちよさは赤ちゃんが知っている
さて「感性リサーチ」代表取締役社長の黒川伊保子氏はその著書『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』(新潮社)の中でこう綴っている。
《PやBのように唇を使って出す音は、赤ん坊が意図的に出す最初の子音(しいん)である》
さらにはこんな記述も。《口腔内の空気を破裂させて出すP音(中略)は、口唇に意識が集中している授乳期の赤ん坊にとって、とても気持ちが良いのである》。
赤ちゃんが「ぱぁ」とか「ぷー」と言っている光景を見たことがあるかもしれない。つまりこの「ぱぴぷぺぽ」は子供たちに最も近しい音であり、最も気持ちの良い音なのだ。そんな生まれたときの原体験を、今、「PPAP」を歌う世界中の人々は追想しているのではないか。
◇ポンキッキも! 子供向けのエンターテインメントに多用