「政治家は歴史法廷の被告である」とは中曽根康弘・元首相の言葉だ。在任中にどんなに権力を振るい、あるいは国民の人気が高かった総理大臣であっても、後世、高い評価を与えられるとは限らない。逆もまた真なりだ。歴史の審判でさえ時代が求める総理像によってかわるだろう。
では、いま、歴代総理の中で誰が評価されているのだろうか。本誌・週刊ポストは与野党各党の現職国会議員とOB議員74人に緊急アンケートを行ない、〈戦後最高・最強の総理大臣は誰か〉を回答してもらった。
最も多くの票を集めたのは吉田茂氏(20票)。終戦翌年の1946年に就任し、米軍の占領下で新憲法(日本国憲法)を制定。サンフランシスコ講和条約の締結(1951年)で日本が占領から独立する際、「安保条約は不人気だ。政治家がこれに署名するのはためにならん。おれひとり署名する」と1人で日米安保条約に調印した人物でもある。まさに敗戦の混乱期を乗り越え、戦後日本の方向を決めた総理大臣だ。
「平和を導いた軽武装、経済復興路線は今振り返っても正しく、吉田氏を超える総理は出ていない」(後藤祐一・民進党代議士)
など、自民党より野党議員の高い評価が目立った。