珍しい光景だった。1月2日、皇居・長和殿で行われた新年一般参賀。午前、午後にわたる参賀の最終5回目、お言葉を終えた天皇陛下に美智子さまがさりげなく耳打ちされた。すると、それまでの回では見られなかったことだが、陛下を取り囲むように美智子さま、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻と真子さま、佳子さまが歩み寄られた。そして改めてお揃いで手を振られたのだった――。
昨年8月の「お気持ち」表明以降、皇室を取り巻く状況は時々刻々と変化している。元日、政府が陛下の生前退位を可能にする特例法案を、1月末からの通常国会に提出することが報じられた。
「皇室に関する法律は皇室典範や皇室経済法、宮内庁法などが複雑に絡み合っています。特例法案は、そうした関連法を一括した内容になると考えられています。『退位』については一切の規定がないため、退位する上で必要な手続きなども法案に明記されることになります」(皇室記者)
法案には、退位したあとの陛下の身分や地位、退位の理由なども盛り込まれるという。
「退位後の陛下の呼称は『上皇(太上天皇)』とする方向で検討されています。
また、陛下が退位されることで、皇太子さまや秋篠宮さまの立場にも変化があります。皇太子さまが即位されれば、秋篠宮さまの皇位継承順位が1位になり、実質的に皇太子の立場になりますから、大きな格差がある “お財布事情”も考慮されることになりました」(前出・皇室記者)
両陛下と皇太子ご一家を合わせた5名には、『内廷費』として2016年度に3億2400万円の予算が組まれている。ところが、同じく5名の秋篠宮家の『皇族費』は6710万円。それを“皇太子”に見合う額に調整する必要があるのだ。さらに、宮内庁関係者が明かす。
「皇族方の実際の生活にも、大きな変化があります。現在、両陛下は皇居にある御所で、皇太子ご一家と秋篠宮ご一家は赤坂御用地内にある東宮御所と秋篠宮邸にそれぞれお住まいです。退位後、両陛下は皇居内にある吹上大宮御所に移られ、御所で皇太子ご一家、東宮御所で秋篠宮ご一家が暮らされることを、陛下は望まれていると聞きます」