二刀流として開花した大谷翔平が日本ハムを日本一へと導き、セリーグでは広島が25年ぶりのリーグ優勝に沸いた2016年のプロ野球。2017年のペナントレースはどうなるのか、どこよりも早く順位予測! 1994年オフにFA宣言してヤクルトから巨人に移籍した経験を持つ広澤克実氏は、今オフ、超大型FA補強に走った巨人の来季をどう見るか。
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今回も巨人の補強は的を射ていないというか、ビジョンが見えてきませんね。FAで巨人に行った僕がいうのもなんですが、ジャイアンツのFA補強はいつも安易に見えてしまう。
これまでFAで最も多くの選手を獲ってきたのが巨人。これだけ“失敗”を繰り返しながら、よく陽岱鋼(29)にまで手を出したなと思います。
陽がダメな選手ということではありません。“なぜ陽が必要なのか”の理由が見えてこないのです。しかも巨人では、移籍してきた大物選手を引退後に論功行賞でコーチに就任させるケースが少なくありません。そのため技術指導ができるコーチがいない。明確なビジョンのないままFA市場で選手を獲得し、その悪循環がチーム内に積み重なっていく。
今オフの補強もその延長線上にある。だから補強によってむしろ巨人は優勝候補から外れた。生え抜きを育てようとしなければ、チーム内競争は生まれず、選手のモチベーションは下がるばかり。
なので優勝はズバリ、阪神だと思っています。
その理由はFAで糸井嘉男(35)を獲れたからではない。闇雲にFA選手に頼ってもいい結果につながらないのは阪神も同じです。優勝するためには、“超変革”を掲げた1年目同様に、金本知憲・監督が江越大賀(23)、横田慎太郎(21)、板山祐太郎(22)、中谷将大(23)、陽川尚将(25)、北條史也(22)ら若手を積極的に起用し、選手たちのモチベーションを高めていく必要があります。
阪神ファンは若手を起用して負けても我慢してくれる。自前の選手でチャレンジするなら、2年でも3年でも待ってくれるありがたいファンなんです。それがFAで獲得した糸井頼みになるようだと、早々に見放すファンだって出てきます。そこを金本監督が分かった上で采配できるかがカギです。昨シーズン同様、多くの選手に“自分にもチャンスがある”と思わせることができれば、今季は結果がついてくるのではないか。