著書『中国4.0』が話題のエドワード・ルトワック氏は、トランプ新政権で米中関係が大きく変わると予測する。変質する「米中関係」を産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が聞いた。
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2017年にはトランプ政権登場により米中関係が一変し、アメリカは東アジアでの軍事力を強化して、中国の力の膨張を抑え、さらに中期、長期には中国を封じ込めるようになるだろう。順を追って説明しよう。
ドナルド・トランプ氏は新大統領として、米軍を中東とアフガニスタンから撤退させる意思をすでに表明している。その結果、アジア・太平洋での米軍の存在が自動的に比重を増すことになる。
アメリカが欧州でも中東でも関与を減らせば、自動的にアジア・太平洋での関与が増加できるわけだ。このほぼ自動的な流れに加えて、トランプ氏は中国を封じ込めたいと意図している。
「封じ込め」とは、これまでのアメリカの政権のように、中国が海洋に新たな島をつくり、その島に軍事施設を建てるのを、まるで観光客が火山の噴火を眺めるようにただ見ているのではなく、抑止のための行動を起こすということだ。
トランプ氏はこの基本の政策はすでに公式に表明した。中国が無法や不当な膨張の動きをとった場合には、アメリカも実際の行動でそれを抑えるという政策だ。同氏はこの政策を繰り返し述べており、大統領として確実に実行するだろう。
トランプ次期大統領は必要に応じて中国と対決するという政策をすでに示している。中国が紛争海域で無法な行動を取り、他国の権利を侵し、軍事力で威嚇する際は、アメリカの新政権はその威嚇された国を擁護し、艦隊や軍用機をその海域に送って、中国の膨張を抑えるだろう。
中国はこれまでその種の威嚇的な拡張を続け、なんの代償も払わないままできた。トランプ新政権は中国の冒険主義的な行動をもう許容しない。中国が軍事力を前面に出して対決してくれば、アメリカも対決を辞さない。その場合、必ずや後退するのは中国側だろう。だから実際の戦争にはならない。