国際情報

トランプ新政権は中国の冒険主義的な行動をもう許容しない

米戦略国際問題研究所上級アドバイザーのエドワード・ルトワック氏

 著書『中国4.0』が話題のエドワード・ルトワック氏は、トランプ新政権で米中関係が大きく変わると予測する。変質する「米中関係」を産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が聞いた。

 * * *
 2017年にはトランプ政権登場により米中関係が一変し、アメリカは東アジアでの軍事力を強化して、中国の力の膨張を抑え、さらに中期、長期には中国を封じ込めるようになるだろう。順を追って説明しよう。

 ドナルド・トランプ氏は新大統領として、米軍を中東とアフガニスタンから撤退させる意思をすでに表明している。その結果、アジア・太平洋での米軍の存在が自動的に比重を増すことになる。

 アメリカが欧州でも中東でも関与を減らせば、自動的にアジア・太平洋での関与が増加できるわけだ。このほぼ自動的な流れに加えて、トランプ氏は中国を封じ込めたいと意図している。

「封じ込め」とは、これまでのアメリカの政権のように、中国が海洋に新たな島をつくり、その島に軍事施設を建てるのを、まるで観光客が火山の噴火を眺めるようにただ見ているのではなく、抑止のための行動を起こすということだ。

 トランプ氏はこの基本の政策はすでに公式に表明した。中国が無法や不当な膨張の動きをとった場合には、アメリカも実際の行動でそれを抑えるという政策だ。同氏はこの政策を繰り返し述べており、大統領として確実に実行するだろう。

 トランプ次期大統領は必要に応じて中国と対決するという政策をすでに示している。中国が紛争海域で無法な行動を取り、他国の権利を侵し、軍事力で威嚇する際は、アメリカの新政権はその威嚇された国を擁護し、艦隊や軍用機をその海域に送って、中国の膨張を抑えるだろう。

 中国はこれまでその種の威嚇的な拡張を続け、なんの代償も払わないままできた。トランプ新政権は中国の冒険主義的な行動をもう許容しない。中国が軍事力を前面に出して対決してくれば、アメリカも対決を辞さない。その場合、必ずや後退するのは中国側だろう。だから実際の戦争にはならない。

関連キーワード

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン