近年、同窓会の需要が高まっているという。同窓会の幹事を代行している『笑屋』の取締役・八木誠さんによると、同窓会の問い合わせは毎年130%ずつ増えているとのことで、とくに65才以上の同窓会は恒例行事のように定期化しているとのこと。
しかし、楽しそうに出かける両親の背中を見ながら、「なんでそんなに同窓会が楽しいのか、わからない」と首を傾げるのは40~50代の子供たちだ。会社員の松野洋子さん(仮名・42才)は、同窓会の案内状を片手に、ため息をつく。
「今年5月に、地元の高校の同窓会があるんですが、正直行きたくないんです。というのも、以前に一度、高校時代の親友4人組で再会したとき、さぞや話に花が咲くと思ったら、全然違ったんですよ」
松野さんは地元・大阪から高校卒業と同時に上京し、大学卒業後は広告業界に就職した。5年前に結婚したが子供はいない。親友のうち、高校時代から外国人と結婚したいと話していたA子は、その願いを叶えてフランス人と結婚し海外生活。職場結婚したB子は地元で子育てしながら時短で働き、C子は大学卒業後、すぐに幼なじみと結婚して専業主婦になった。
「授業中におしゃべりして先生に怒られるほど仲がよくて、トイレに行くのも一緒だった私たちに、今は何の共通点もないんです。専業主婦のC子の前で仕事の話はできないし、私は子供がいないから子育ての話はあちらが遠慮して結局盛り上がらない。なにより生活環境が違いすぎて、何を言っても自慢に取られてしまいそうだし…。東京に来てかなりの年数がたっているので関西弁も薄れてきて、何か言うと『東京弁や~』と言われてしまうのも、言葉少なになる一因です。私から見ると子供がいる家庭はうらやましいけど、彼女たちは『かっこいい仕事だね』と言う。お互いに悪気はないけれど、なんだか居心地が悪くって…」
一方、『おとなの始末』などの著書がある作家の落合恵子さん(71才)は、時間が合わず学校の同窓会にはなかなか顔を出せないものの、大学時代入っていたサークルの集まりには何度か参加して楽しんでいる。そんな落合さんは「若いうちは互いの違いを認め合うことが難しい」と指摘する。