32年間、平日の昼間に1時間の生放送番組を抱えていたタモリ(71才)の口癖は、「おれは香港より西に行ったことがない」だった。多忙すぎるゆえに、長年、宿泊を伴う旅行はしたくてもできなかったのだ。それは長年連れ添っている愛妻A子さん(74才)も同じ。結婚生活47年間で、国内の夫婦旅行でさえ数えるほどしか行ったことがなかったという。
だが、今ようやく、ゆったりとした夫婦の時間がとれるようになった。「妻を連れて行って見せたい景色があるんです」──。タモリとA子さんは正月早々、東アジア、そして香港を巡る約2週間の旅路についた。
昨年大晦日のNHKの紅白歌合戦には、「ふるさと審査員」としてマツコ・デラックスとともにゲスト出演したタモリ。終始、舞台裏を歩き回り、ステージ上に一度も登場しないという演出で、大晦日のお茶の間を沸かせた。
その数日後のことだ。国際線のカウンターに姿を見せたのは大きなスーツケースを抱えるタモリ。その隣にはA子さんがいた。タモリを知る関係者が打ち明ける。
「実はタモさん、紅白が終わってからすぐ奥さんと一緒に海外旅行に旅立ったんです。何でも、インドネシアのバリ島、中国の香港、そして台湾あたりを回ったそうです。年齢的なこともあると思いますが、どうも奥さんの体調が思わしくないようで。海外など遠くに旅行するならば、今のうちにふたりで行きたいところに、ということだったようですよ」
1982年10月には、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)と『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)の放送が始まった。30代後半になってスターダムを駆け上がる遅咲きの夫を妻は陰から支え続けた。
「当時、A子さんはタモリさんの個人事務所の社長を務め、お金の管理など裏方の仕事をすべてこなしました。タモリさんが番組に集中できたのも、すべてA子さんが夫に尽くしたからです」(A子さんの知人)
だが、仕事が忙しくなるほど、夫婦で過ごす時間は減っていった。