『フォーリーブス』は11年、『キャンディーズ』は6年、『光GENJI』は8年。一世を風靡し、今も伝説として輝くアイドルグループでさえ、SMAPのように25年もトップを走り続けることはなかった。コラムニストの中森明夫さんが指摘する。
「以前のアイドルは、年と共に卒業するものでした。だけどSMAPは40代のおじさんになっても、アイドルであり続けた。だからこそ、V6やTOKIOも、40代で歌い続け、アイドルでいられるんじゃないですか? あのザ・ビートルズだって10年しか活動していません。アイドルのまま中年になれるという形を作ったことは画期的なことだと思います」
中森さんはそんなSMAPを、“テレビが生んだ最後のスター”と評する。
「キムタクが『あすなろ白書』に脇役で出演した時は、一般的にはあまり知られていなかった。その木村さんや吾郎ちゃんはドラマ、中居さんや慎吾ちゃん、草なぎさんはバラエティー番組や『笑っていいとも!』などで人気を博し、彼らはいずれもテレビから火がついていった。バラエティー、司会、ドラマと個人の活動を広げつつも、SMAPとして、コントや料理もして、歌い続けた。冠番組『スマスマ』は月曜10時というゴールデンタイムで、高視聴率を20年間キープしたんです」
翻って今は、舞台やSNS、YouTubeなど、人気のきっかけはテレビ以外だ。しかもファンが多いだけではない。SMAPのことは老若男女問わず、誰もが知っている。300万枚を売り上げ、音楽の教科書にも載っている『世界に一つだけの花』は歌えても、昨年末の紅白歌合戦に出場した歌手の歌で、老若男女みんなが口ずさめる曲がいったいいくつあっただろう。31才のSMAPファンの女性が言う。
「SMAPファンの集いに参加したとき、隣が60代の女性だったのですが、振付も歌詞も完璧で、口ずさんでいたのを見て、SMAPってすごいなあとうれしくなりました」
そんなふうに、さまざまな世代に受け入れられた国民的スターだったからこそ、今回の解散に衝撃が走った。
にもかかわらず、SMAPは解散コンサートも記者会見もなく、ひっそりと最後を迎えた。『スマスマ』で1曲だけ歌われた『世界に一つだけの花』は生放送ではなく収録で、メンバーの言葉もなかった。活動終了日である12月31日の紅白歌合戦も出場せず、番組内で彼らに触れることもなかった。