大学駅伝シーズンを通して、本誌で最新情報をレポートしてきた陸上長距離専門ウェブメディア「EKIDEN NEWS」主宰者の“博士”こと西本武司氏と、マラソン解説で数々のトリビアを紹介する増田明美氏(スポーツジャーナリスト)との対談が実現。競技現場での情報収集を何より大切にする2人の対談は、思わぬ盛り上がりを見せた
──増田さんの独特の解説スタイルには賛否両論あるようです。
増田:ありますね。でも当然ですよ。全日本では、競技者としての解説なら1号車のなべちゃん(渡辺康幸・住友電工監督)がやってくれるから、私の役割は小ネタで“人”を伝えること。
西本:選手の結婚情報とかは、だいたい増田さんの“スクープ”ですよね。
増田:怒られることも多いですけど(苦笑)。リオ五輪でも、女子5000m予選で上原美幸さん(第一生命)がスタート直後から一気に飛び出したでしょ? アフリカ勢の2位集団に追いつかれるんだけど、そこでさらに粘った。
私もその瞬間、ここだと思って「上原さんはキーホルダーを集めるのが趣味で、一番好きなのは焼き鳥のねぎま(のキーホルダー)です。なぜかというと、ネバーギブアップ、ネバギバ、ねぎま!」と話した。でもね、NHKのアナウンサーの方は完全にスルーで……。
西本:その温度差がまた面白かったですけど、報道とエンタメの境目の難しさですよね。競技に直接関係ある情報だけでも味気ないし。
増田:だから、ひたすらファン目線、沿道目線で情報をレポートしていく西本さんのやり方は面白いと思う。そんな西本さんは、野球やサッカーと比べて駅伝やマラソンの面白さって何だと思いますか?