《いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて二十年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた》
強烈な書き出しでエッセイは始まる。1月18日に『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)が発売されると、注文が殺到。わずか1日で重版が決まった。
「最初は、“汚らわしい。うちには置けない!”と書店員さんから突き返されることを覚悟していました。でも特設サイトに試し読みを設けたり、見本本を配布したりするうちに、徐々に興味を持ってもらえるようになったんです」
と話すのは、著者のこだまさん。結婚17年を迎える40代の主婦だ。同エッセイは、すべて彼女の実体験に基づいている。
こだまさんは、大学入学を機に東北地方で一人暮らしを始める。引っ越しを手伝ってくれた同じアパートに住む先輩が、後の夫だった。ふたりはすぐに交際に発展。しかし、交際初日の夜に異変が起きる。彼の男性器が、全く入らない。
結婚後も進展はなかった。ベビーローションを使う、ラブホテルに行って雰囲気を変える。試行錯誤を重ねたが、いずれも不毛に終わった。
こだまさんには他の男性との経験もあった。それでも彼のは大きすぎるのか、どうやっても入っていかない。
「当時はネットですぐに検索できる時代ではなかったので、自分だけが欠陥品なんだと悲観していました。恥ずかしくて人にも言えない。病院に行って“すみません、ちんぽが入らないんですけど”なんて相談もできない。それでも、夫と繋がるにはこの痛みをこらえるしかないと、頑固に思い込んでいました」(こだまさん)
35才の冬、北海道旅行の夜に血をにじませながら痛みに耐えたのが最後となった。以後、ふたりは体を触れ合うこともなくなった。
男性器が入らないから夫とセックスができない。同様の悩みを抱える女性は少数だが存在する。