国際情報

習近平の狙いは死ぬまで主席だった毛沢東の再来

強制撤去を防ぐため魔除けのように貼られた写真 AP/AFLO

 習近平は、死ぬまで最高権力者の地位にあった毛沢東を目指して動き出した今秋に予定されている中国共産党大会を前に、「絶対権力」を握るための闘いが始まった。習は不満分子の弾圧を強化しているが、8度も暗殺未遂事件に巻き込まれているとも伝えられる。大陸は不穏な空気に覆われた。ジャーナリストの相馬勝氏がリポートする。

 * * *
「ある人は政治的野心を実現するために、党や国家の権力を盗み取ろうと妄想し、党分裂の陰謀活動を画策、罪に手を染めている。これは国家の政治の安定への重大な脅威となっているのだ」

 これは習近平国家主席の盟友で、最も信頼している腹心、王岐山・中国共産党中央規律検査委員会書記(党政治局常務委員)が昨年10月31日、北京で開かれた中国人民政治協商会議(政協)常務委員会で行った重要講話の一部だ。

 王は党最高幹部「チャイナセブン」の一人で、習近平の意を受け第一線で反腐敗運動の全面的な指揮をとっているだけに、政協という極めて公式で重要な場で「国家や党の権力を盗み取り」「党分裂の陰謀活動」に関わっている「野心家、陰謀家」を強い調子で糾弾するのは極めて異例だ。

 北京の党幹部筋は王の心の内を次のように読み解く。 「王岐山は習近平指導部打倒を画策する不満分子の存在を明らかにし、習近平指導体制の存続に強い危機感を表明。野心家、陰謀家の全面摘発の強い決意が込められている。これは習近平の心の底からの叫びでもある」

 王は講話の中で習近平が3年前の党中央委員会総会で行った重要演説の内容を明らかにした。それは「党の政治規律、政治原則を無視する人々の七つの振る舞い」と呼ばれており、次のようなものだ。

「自分の出世のために、周りを身内で固めてよそ者を排除し、仲間内でこそこそと振る舞って派閥を作り、讒言で人を陥れてカネやモノで人心をたぶらかして自分の側につけ、利をもって官位を与え、自分勝手に振る舞いながらも上には面従腹背し、思う通りに権力を振るうために派閥を大きくし、中央からの命令に逆らい叛旗を翻す」

 腐敗幹部の典型的な行動であり、王は具体例として、すでに獄中にある周永康や薄熙来、郭伯雄、徐才厚、令計画ら党・軍の元大幹部を挙げる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン