芸能

『嘘の戦争』と『カルテット』 火曜夜にセット視聴のススメ

『カルテット』番組公式HPより

 そろそろ評価が揃い始めるタイミングである。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が、今季の見どころを指摘した。

 * * *
 ドラマ好きにとって、身もだえするような「曜日」が出現しました。それは火曜日。

 午後9時は草彅剛主演、SMAP解散騒動後のドラマとして注目を集める『嘘の戦争』(フジテレビ)。そして午後10時は『逃げ恥』後続の注目枠(TBS)、独特な滑り出しを見せる『カルテット』。

『嘘の戦争』と『カルテット』。 2つは、まったく違う風合いをもったドラマ。

 登場人物はかたや復讐に燃える詐欺師、かたやクラシック音楽の弦楽四重奏者。タイプも題材も違うけれど、そうした表面上のことだけではありません。言ってみれは、ドラマの作り方が「正反対」。それが、ドラマ好きにはたまらないのです。2作続けて見ればワクワク、ゾクゾク、ドキドキ。ドラマが持つ醍醐味というものが、ぎゅっと詰まった2時間はまさしく至福の時間。

 まず、『嘘の戦争』は、幼い頃、一家無理心中と見せかけ家族を殺された男の復讐物語。主人公・浩一は偶然真犯人と再会し、復讐の鬼と化す。自分の家族を陥れた人間に近づいてはじわりじわり、一人ひとり追い詰めていく。

 浩一演じる草なぎ剛の横顔は、修羅そのもの。鬼です。怖い。遠くを見る目の冷たさに背筋が凍る凄味を感じます。集中力も演技力も、際立っています。そうした主人公を中心軸として、動きを追っていく典型的な「ストーリーもの」。いったいどこまで相手を追い詰めるのか。手に汗を握りながら視聴者も一緒に「筋道」に乗っかって、ジェットコースターのように滑走していく感覚です。

 一方の『カルテット』は? 冬の軽井沢を舞台に、弦楽四重奏(カルテット)を組む4人の男女--松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平。もちろん筋立ては用意されています。松たか子が演じる真紀だけが既婚で、しかし夫は失踪しているらしい。彼女が殺したという人もいるが真相は? とミステリアスな話が通奏低音となって響いています。

 しかし、それは「土台」に過ぎない。その「土台」の上に立つ、4人の役者たちが瞬間瞬間に作り上げる空気こそ、見物です。

 やりとり。言葉のからみあい。微妙なズレ。目つき、手つき。一瞬ごとに、相手のどんなリアクションが引き出されるのか。セリフの向こうにどんな唐突な関係がかいま見えてくるのか。ストーリーというよりも、各シーンシーンが鮮やかに立ち上がる。いわば、「言葉の即興劇」という風合い。

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン